Ichiban KOBEスペシャルインタビュー@トアウェスト三四公園
日本全国、そして世界に誇れる神戸エリアのイチバンを紹介するこのインタビュー。
今回は神戸出身、1か月ほど前にNew Yorkから神戸に帰国してこられたシンガーのヨシダマヤさんのスペシャルインタビュー。
8年に渡るNew Yorkでの生活、歌うということの意義など、リラックスしたムードの中でお伺いしました。話の中でマヤさんが口にされていた「感謝の気持ち」という言葉がとても印象的でした。
編集長:
こんにちわ!自己紹介をお願いします。
マヤさん:
こんにちは!ヨシダマヤです。歌をやっています。よろしくお願いします。
編集長:
ちょうど1か月ほど前に日本へ帰国されたとお伺いしました。それまではどちらで歌の活動をされていましたか?
マヤさん:
NYの、主にマンハッタンとブルックリンを拠点にしていました。
編集長:
ここ数年、ブルックリン地区は劇的に変わって、以前よりずいぶんとキレイになりましたよね。雰囲気も良くて、アートの街といって過言ではないほど。
マヤさん:
はい、最近は物価が上がるほどとても人気の街になりましたね。
編集長:
マヤさんはどんなジャンルの歌、音楽をされていらっしゃいますか?
マヤさん:
今はジャズを歌っています。もともとはクラシックのピアノを大学で専攻していて、卒業してから歌に転向しました。歌に集中するようになってから、最初はポップス、ゴスペルなども歌っていましたが、巡り巡って今はジャズに焦点を置いていこうと考えています。
編集長:
ピアノを専攻されていたということですが、弾きながら歌うこともありますか?
マヤさん:
弾きながら歌えるようになりたいのですが、今は一点集中型で。弾きながら歌うと正直楽器か歌かどっちかが疎かになってしまう感じがして、、、まだ修行が足りないんですね。笑
編集長:
NYには何年くらいおられたのですか?
マヤさん:
計8年間住んでいました。
編集長:
NYの魅力を一言で表現するとすれば、何でしょう?
マヤさん:
NYは「常に流動する街」ですね。
編集長:
アートの街でもあり、いろんな人種の人がいらっしゃって、それぞれの夢を追いかけている人が集まる街ですよね。あのアポロシアターで歌われたとお伺いしましたが、具体的にどのようなコンテストで、どのような雰囲気だったんでしょう?
マヤさん:
「AMATEUR NIGHT AT THE APOLLO」というコンテストです。300組ほどがまずオーディションを受けて、その中から100組ほどのパフォーマーが選ばれます。そしてそのパフォーマーが順番に毎週6~7組ずつアポロシアターの舞台でパフォーマンスを披露します。歌、演奏、コメディなど、出演者のジャンルはさまざまです。このコンテストでは、観客の声援の大きさが審査基準になりますので、とにかく観客を驚かせ、感動させなければなりません。もちろんパフォーマンスが良くない場合にはブーイングを受けてしまうこともあります。そして各ステージで最も大きな声援を受けた上位3組までが、次のステップへ進んでいくというものです。
編集長:
そこで1度勝ち抜かれたのですね!厳しいオーディションで選ばれアポロシアターの舞台に立てる人はごく限られた人数だと思いますので、本当に素晴らしいです。実際に舞台に立った時の歓声や、勝ち残った時の感動はどのようなものでしたか?
マヤさん:
一番感じたのは、感謝の気持ちです。1度でも勝ち抜くということは、自分の力だけではできなかったこと、そう、全く成しえなかったことだと思っています。歌を聴いて下さった方の応援がなければ、観衆の声援がなければ、決して勝ち抜くことはできなかったです。「ホントみなさんに勝たせていただいた」という感謝の気持ちがとても大きかったですね。
編集長:
貴重な経験でしたね。そのコンテストで勝ち抜かれた経験を、これから日本で音楽活動をしていくにあたり、地元神戸では、どのように活かしていきたいと思っていらっしゃいますか?
マヤさん:
私は19歳までここ神戸で生活していていましたし、やはり自分の人生のルーツは神戸です。アメリカにも長く住んでいましたが、これからは、神戸で歌を通して今までの感謝の気持ちをいろんな方に伝えていきたいですし、感謝の気持ちを、歌を通して表現していきたいですね。
編集長:
神戸という異国情緒のある街に生まれ育ったマヤさんですが、昔から周りに外国人の方が多く、海外のものに触れたりする機会が昔から多かったのでしょうか?
マヤさん:
そうですね、意識しないうちからそういう感覚はあったと思います。特に通っていた高校が六甲アイランドにあり、近くにはカナディアンアカデミーというインターナショナルスクールもあって、外国人の方と触れ合う機会も多かったです。将来は海外へ出たいという気持ちになったのは、少なからずそういった環境からの影響があったのかもしれません。
編集長:
長きにわたるアメリカ生活を経て、また日本に拠点を移すことになった訳ですが、マヤさんがNYで経験されたこと、吸収されたことを、ここ神戸でめいっぱい発揮してほしいと思っています。
マヤさん:
ありがとうございます。
編集長:
私たちはIchiban KOBEというメディアを、雑誌とウェブサイトで運営しています。国内外から神戸にいらっしゃる観光客の方々に向けて、神戸に住んでいる私たちにしか分からない良さ、神戸にある知られざる「イチバン」を皆さんに伝えていくためのメディアです。
実は(インタビュー場所の目の前にある)ラボベイクコーヒーさんも、とても人気のスポットです。神戸発のお店ですが海外の人にも有名で、SNSで世界にも発信されています。Ichiban KOBEで紹介させていただいた時も、「このお店はどこにあるんですか?」「どこでこのコーヒーは飲めますか?」というお問い合わせを海外からもいただいたんです。SNSの普及によって、世界との距離がぐっと近くなってきましたよね。
近くに、といえば、NYで地元神戸ご出身の方にお会いすることはありましたか?
マヤさん:
はい!ありましたよ。実はNYで同級生に遭遇することがよくあって、とても驚きました。このインタビューを紹介してくれたウツボ君(NYで活躍するメイクアップアーチスト、以前Ichiban KOBEのインタビューでご紹介→ https://ichibankobe.com/ja/kento-utsubo/ )もそうですし、ミュージカルアクター(舞台俳優)をしている子や、日本が発祥のカラオケの関連機器の会社でいる子もいました。アメリカでも日本のカラオケがとても人気なんですよ。そしてなんと小中高が一緒の同級生がその会社で働いていて、NYで再会。何とも奇遇なものですよね。
ここ(神戸)からNYへ留学し、しっかり勉強し吸収したものを帰国後の仕事に活かしている人、あるいはそのまま残って現地でキャリアを積んで活躍している人たちなど様々ですね。今思い返せば、私の周りはもともとすごくインターナショナルな環境だったのかなと、改めて感じました。
編集長:
ところで、NYは特にアートの面では「勝負の街」だと思うのですが、同じ志を持って世界から集まってくる人々がいる中で、日本人以外にも共感できたり、親近感を持てたりした国の方はいらっしゃいましたか?やはりアジア圏の方が多かったんでしょうか?
マヤさん:
NYで会うアジアの方々にはもちろん親近感を持っています。そんな中、意外かもしれませんが、ヨーロッパの方と共感する、共鳴する部分が多かったように思います。長い歴史のあるヨーロッパの方々と、同じように長い歴史のある日本人は、不思議と話が合ったり、どことなく考え方が似ていたりする気がします。口約束だけではなくちゃんと約束を守るところなど、私的にはとても親しみを覚えました。そういった些細なことの積み重ねもあって、分かり合える部分が多かったヨーロッパの方とは一緒にいることも多かったですし、実際にコミュニケーションも取りやすかったです。
編集長:
なるほど。
では、音楽家、シンガーとして、マヤさんが思うご自身の歌の「自分らしさ」とはどのようなものか教えていただけますか?
マヤさん:
実は私自身、そこになかなか答えを見出せなくて悩んでいたんです。でも今回帰国するにあたって、いろんな方から、「マヤはすごく癒される声を持っているよ。」と言って頂けたのです。そして自分では今まで一度も考えていなかった「ボサノヴァ」や「スロージャズ」という音楽ジャンルの方向性の方が合っているんじゃないかという意見も頂きました。正直驚きを隠せない部分もありましたが、同時に新しい可能性を示してもらえて嬉しかったです。やはり自分のルーツであるジャズの街神戸とも縁があるのかなとも感じました。神戸には昔からジャズミュージックが根付いていますし、‟神戸に戻る”というベストなタイミングに自分の新しい音楽の方向性を決められてホント良かったと思います。
編集長:
そうですね、神戸はジャズが演奏できるお店も多いですし、ちょうど少し前に神戸出身の世界的ジャズピアニスト小曽根真さんからもIchiban KOBEにスペシャルメッセージを頂戴しました。神戸北野にある、毎日ジャズの生演奏が聴ける小曽根さんおすすめのお店(※ジャズライブ&レストラン ソネ)もご紹介してくださったので、ぜひ足を運んでみてください。神戸はジャズの歴史が長く、素敵な街ですし、そういった文化をどんどん発信していける土壌がありますよね。
そんな神戸の街で、マヤさんが発揮したいこと、表現していきたいことはありますか?
マヤさん:
長く海外にいたからこそ、以前よりも日本人の良さ、日本の素晴らしさをすごく感じています。日本にいた時は洋楽を聴いて英語の歌詞がカッコいいと感じていましたが、いざ海外に出て、特に歌を本気でやるようになってからは、自分の言葉で歌うことの大切さを実感しました。これからは「自分の言葉=日本語」で歌う、伝える、ということっも積極的にやっていきたいです。ジャンルではジャズを主軸に、でもジャズをあまり知らない人にも聴いてもらえるような、親しみやすい音楽も含めて、自分の音楽を伝えていきたいです。
編集長:
マヤさんならNYで培ってきた自分らしさを残しつつ、地元神戸でもさらに活躍してくれると思います。
マヤさん:
拠点を日本に戻したことで、帰ってきたという安堵感もありますし、これから日本社会に順応していかなきゃいけないという不安も正直なところあります。日本で活動していく中で、NYで築いた自分らしさも大切にしていきたいと思っています。
編集長:
先ほども少し触れさせていただきましたが、私たちはIchiban KOBEという英語・中国語が併記されている観光雑誌を発行しています。
神戸は、日本人の方からは「オシャレ」な街で、「神戸美人」などをイメージされるようなのですが、海外の方からはとにかく「情報が少ない」と言われているのが実情なんです。例えば、ある関西エリアの外国語観光誌があるのですが、大阪・京都がほとんどの誌面を占めています。そして残念なことに、神戸は多くても2ページくらい、、、それもあってIchiban KOBEを発刊することになったんです。
NYはもっと広く、いろんなエリアがありますが、たくさんの情報をうまく発信しているので、海外からの人たちにもわかりやすい街ですよね。神戸も魅力的なエリアがあるのに、なかなか外に向けてその魅力を発信できていない気がします。
マヤさん:
そうですよね。神戸は観光する街というよりも、私的には日本滞在の長い海外の方々が戻ってくるとホッとするような場所という印象を持っています。神戸に外国人が多く住んでいるのを昔から自然と見ていましたので。神戸は外国人が定住するには最高の街のような気がします。
編集長:
まさしくそうなんですね。これまでもいろんな外国人の方にお話を聞いてきましたが、「海と街と山が近くて、キレイで安全で長期間住むのに本当にいい街です。」という回答を非常に多く頂くんです。ただ、外国人観光客の皆様にお伺いすると、「雰囲気はいいのですが、情報が少なくてどんな街か掴みづらいですね。知らないお店には入りづらいというか、、、」と言われてしまうこともしばしばあります。
例えばNYなら初めてのジャズバーなんかにもスッと入れる雰囲気があります。神戸もそういう風になっていければと願っています。
神戸ではちょうど開港150年にまつわる芸術関係のイベントがたくさん開催されています。今後はぜひマヤさんにも歌を通して多くの方に感動を与えて、神戸を盛り上げていただきたいです。そして神戸の良さも外国人の方に伝えていただけると嬉しいです。今後のご活躍にも期待しています!
マヤさん:
ありがとうございます!イベントのためにNYに戻ることもありますが、これからは神戸を中心に自分がやりたい音楽と、自分に合う音楽を、自分らしく歌で表現していきます。
編集長:
それでは最後に、マヤさんにとって、神戸とはどんな街ですか?
マヤさん:
「私にとって神戸とは、可能性をくれる街。シンガー、ヨシダマヤ。Ichiban KOBE! Yo! Check it out!」