Part1に引き続き、今回の取材で大変お世話になっている神戸ワイナリーの黒川さんが、神戸ワインの各銘柄の詳しいお話を、試飲を交えてしていただけるとのことで、ワイナリー屋内施設内の「ワインショップ」を訪ねました。柔らかな音楽の流れる広々とした店内には、様々な種類のワインが芸術作品のように並んでいます。
ショップ内には、ぶどうの品種についての説明や神戸ワインの受賞歴が紹介されているセクションもあります。
神戸ワイナリーの黒川さんです。弊誌編集長が各銘柄を試飲させて頂きながら神戸ワインについて様々なお話をお伺いしました。
【白ワイン】
<神戸セレクト 白甘・白辛>
黒川さん:まずは白ワインから。こちらが、「神戸セレクト 白甘」です。木樽ではなくステンレス製のタンクで醸造するので、ぶどうの果実味や香りをそのまま楽しめるワインです。
編集長:もちろん木の風味、香りも好きですが、ステンレスですと、ぶどうそのものの純粋な味が感じられますね。
黒川さん:そうです。フルーティーなワインです。こちらの辛口もお試しください。
編集長:先ほど頂いたものはセミスイートで、これはドライですね。
黒川さん:シャルドネの100%で、キリっとした辛口が特徴です。
編集長:まさにシャープな味わいですね!
黒川さん:ワインを普段あまり召し上がらない方や日本酒の辛口がお好きな方には、おすすめです。
編集長:この味は、白身魚とか、ムニエルとか、シーフードソテー系の料理に合いますね、きっと。
<エクストラ・白>
黒川さん:こちらは「エクストラ」という銘柄でシャルドネ100%です。「セレクト」との違いとしましては、発酵はステンレスタンク内で行い、そのあと木樽で熟成していますので、木の香りが楽しめます。しっかりと樽香がついていますので、樽香が好きな方には是非お試し頂きたいワインです。
編集長:なるほど。神戸セレクト白甘と白辛の間ぐらいの風味ですね。とっても美味しいです。個人的に好みの味です!
<ベネディクシオンブラン>
黒川さん:こちらが「ベネディクシオン」、G20大阪サミットで振舞われた赤ワインが「ベネディクシオンルージュ」です。赤なので、この白ワインの試飲の後でご紹介しますね。
編集長:こちらの赤は、もの凄く話題になっていましたよね。
黒川さん:実際、G20の直後は、購入される方が殺到しまして、1週間もしないうちに完売してしまったほど人気でした。
編集長:すごいですね!まずここでは、白からご紹介いただきます。
黒川さん:はい、「ブラン」ですね。特徴としましては、エクストラやセレクトのような一般的なワインでしたら、発酵が終わった段階で、通常「おり引き」というワインの製造工程を経ます。発酵が終わったワインの中の澱(おり)と呼ばれる沈殿物を上澄みの部分から取り除く作業なのですが、こちらのワインは「シュール・リー」と呼ばれる方法を使っています。それは意図的に澱を取り除かず、そのまま醗酵樽内に残して数ヵ月保存することで、奥行きを持たせたような香味を与えることができるのです。
編集長:なるほど。奥行きのある味、まさにうなずけます!
<神戸大沢、神戸印路>
黒川さん:赤ワインに進む前に、あと2種類ご紹介したい白ワインがあります。こちらの辛口と甘口のワイン、「大沢」、そして「印路」です。名前の通り、2つの地域の圃場でぶどうを生産して頂いています。
編集長:北区の大沢、西区の印路ですね。
黒川さん:はい。北区の生産者の方々と西区の生産者の方々に、地域によって特徴の違うぶどうを作ってもらえればうれしいという思いがありましてお願いしています。良い意味で競い合ってより洗練されたぶどうを作って欲しいとの気持ちも込めています。
編集長:お話が深いですね!どちらの方が、人気とかあるのですか?
黒川さん:それに関しては、好みのお客様の層が結構分かれていますので、どちらがということはないと思います。例えば、印路は甘口ですので、女性の方に人気です。そして大沢は、印路とは対照的にきりっとした辛口ですので、男性の方からの支持が高いです。あと、カップルで来られた方は…こちらの印路をお選びになることが多いですね。女性の意見に合わせてご購入されているところをよくお見受けします。
編集長:素敵なお話ですね。
【赤ワイン】
編集長:こちらのワイナリーでは、常にワインの開発を繰り返してらっしゃるのですか?こういう味を作っていこうとか…。
黒川さん:そうですね。昨今は気候の変動も顕著で、温暖化の傾向にありますので、それに合わせて、試験用でいろいろなぶどうを試してみたり、現行のワインにも改良を加えてみたりしています。ワイナリーそしてワインづくりは気候に非常に影響を受けやすいので、様々な試行錯誤を繰り返しています。
編集長:なるほどですね。
<セレクト・赤>
黒川さん:こちらが一番初めに飲んでいただいたセレクトの白と同じ銘柄ですね。ステンレスタンクで熟成されていますので、フルーティーな果実味が味わえると思います。
編集長:いいですね。ライトに赤を楽しめる風味ですね。
黒川さん:ライトボディですので、実際そんなに重たさはなく、和食などにも合わせやすいかなと思います。
編集長:確かに!これは和食全般に合いそうですね。
編集長:ところで、神戸ワインの中で最初に登場したワインは、こちらの「セレクト」ですか?
黒川さん:そうです。ラベルは一度変更されています。ちなみに定番商品の中で、一番最近できたものが、「ベネディクシオン」です。
<エクストラ・赤>
黒川さん:次はこちら、カベルネ・ソーヴィニヨン「エクストラ・赤」です。「エクストラ・白」同様で木樽に入れて熟成させていますので、樽香が特徴です。樽香が好みの方にはピッタリなワインです。
編集長:この渋みが好きですね。木樽からの風味が出ていますね。
黒川さん:そうですね。しっかりと樽香がついています。
編集長:これは非常にいいですね。お肉料理に合うしっかりとした赤ですね。
黒川さん:ミディアムボディなので、バッチリ合うと思いますよ!
編集長:これはローストビーフなどと一緒に頂くと最高ですね。ところでこちら、特徴的なラベルですね。
黒川さん:明治初頭の神戸の街中を描いたものです。
編集長:外国人の方がとても好むラベルですね。味も非常に良いですし、来年(コロナ後)には、多くの外国人の方々が、きっと神戸に戻ってきて、神戸ビーフとこのワインを楽しまれると思います。
黒川さん:きっとそうですね!最近見た新聞記事でもコロナ後に行きたい国1位で日本が選ばれていましたよね。
編集長:はい!
<ベネディクシオンルージュ>
黒川さん:そして最後に「ベネディクシオンルージュ」です。白ワインのご紹介の際にも少し触れましたが、こちら「ベネディクシオンルージュ」が、2019年6月28日に開催された「G20大阪サミット」の夕食会で振舞われました。
編集長:非常に話題となりましたね。
黒川さん:今日試飲して頂くのは、実際に振舞われた「ベネディクシオンルージュ 2016年」とはヴィンテージが違うものです。
編集長:それではいただきます。
黒川さん:このワインの特徴としましては、他のワインと違い手絞りで作られたワインなのです。ぶどうが入荷したら1粒1粒丁寧に選果して、手絞りを行っています。ぶどうにストレスをかけることなく最高のワインを作る、それこそが、「ベネディクシオン」です。
編集長:なるほど。すごいですね、ぶどうにストレスをかけないというこだわり。そして味も絶品ですね。これは、細かい説明をするより、皆様に実際に味わって体感して頂きたい味ですね!
黒川さん:その通りですね!是非!
【ブランデー】
<神戸ブランデー>
編集長:ところで、神戸ワインは海外向けに出荷されておられますか?
黒川さん:そうですね。メインはやはりアジアで、マカオ、香港などに出荷しており、中国本土へも出荷を始めています。
編集長:中国本土は、日本のワインや日本酒の需要が多いイメージですね。
黒川さん:もちろんその中で、ワインを好まれる方もたくさんいらっしゃいますが、このところ中国本土の方々の間ではブランデーがとても人気があります。こちらの「神戸ブランデー シュプリーム」。これは15年熟成で香り高く、深くまろやかな味わいが特徴です。
編集長:すごい、15年熟成ですか!
黒川さん:お値段は少し高めですが、是非味わって頂きたい逸品です。計画としましては、この先18年ものなど、熟成年数を延ばして、より深みのあるブランデーを作っていけたらと思っています。
編集長:今回は試飲だけでなく、1つ1つの銘柄についての丁寧なご説明、本当にありがとうございました。
黒川さん:私もとても楽しい時間でした!この記事をご覧になる多くの方にとって、神戸ワインの魅力を知ってお家やお店で味わっていただく、また当ワイナリーに足を運んでいただく良いきっかけになればと思います。
編集長:そうですね!こちらにお越しになる方々が、お好みのワインを購入したい、あるいはお土産にこういう感じのワインを買って帰りたいといった場合、店内のスタッフの方に気軽にお伺いすることは可能ですか?
黒川さん:もちろんですよ!ある程度、お好みの味、ご購入目的やご予算などをお聞かせいただければ、おすすめのワインをピックアップします。
編集長:それは、皆さんにとってホントに嬉しいですね!今日はありがとうございました。
自然あふれる広大な敷地に広がるワイン畑、アットホームな雰囲気で迎えて下さるスタッフの皆さん。ここ、神戸ワイナリーに訪れると、美味しい神戸ワインがさらに何倍も美味しさを増します。是非これからのシーズン、ワイン片手に緩やかな時間を楽しんでみて下さい。
神戸ワイナリー(農業公園)
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