日本が世界に誇る、最高の食材「神戸ビーフ」。神戸ビーフが美味しいのは当然ながら、神戸が誇る2人の料理人が、それぞれ異なるアプローチで、最高の神戸ビーフを更なる極上の一品に昇華。神戸ステーキレストラン「モーリヤ」の山村氏と神戸フレンチバル「神戸産直マルシェ」の筒井氏に、神戸牛に対する考え方を語って頂いた。
profile
山村 正美 モーリヤ総料理長
元々は洋食のシェフだった山村氏。ある時お客様の目の前で調理する鉄板焼きの魅力に惹かれ、それ以来22年に渡り、神戸ビーフを扱うレストランの鉄板の前に立ち続けている。
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使用するのは選び抜かれた神戸牛のみ。一つ一つに証明書が付いている最高級品である。
「神戸ビーフの魅力はなんといっても赤身と脂身の旨さにあります」。そう語るのは神戸の老舗神戸ビーフステーキレストラン「モーリヤ」の総料理長である山村氏。「一般的な牛肉の脂肪の融点に比べ、神戸ビーフの脂の融点は非常に低く、36度にも満たないと言われています。この融点の低い脂身が赤身の中に混じり込んでいるので、赤身でもとろけるように柔らかく、且つ脂がさっぱりとしているのが神戸ビーフの特徴といえます。」
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高温に熱された鉄板で、焦がさないように表面だけをサッと火入れ。旨みを内に閉じ込める。
そんな山村氏の調理は一見シンプルではあるが、神戸ビーフを知り尽くした彼の熟練の技なくしては、この最高級食材の味は最大限に生かすことは不可能である。「美味しい素材をより美味しくするためにのみ意識を集中しています。」と山村氏。
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「オープンキッチンは舞台」と語る料理長。スキが無く美しい所作も見どころの一つ。
そしてもう一つ彼が大切にしているのはおもてなしの心だという。「調理中は目の前でお客様が見ているので、一瞬も気が抜けません。お客様がこの特別な空間を愉しんで頂けるよう、スタッフ全員最高のおもてなしを心掛けています」。
常に柔和で丁寧な語り口からも、神戸ビーフに対する敬意と鉄板焼きに全てをかけるプライドのようなものが静かに感じられた。
profile
筒井 大輔 神戸産直マルシェ料理長
若くして洋食の道に進み、全日空ホテル・リッツカールトン大阪と、関西のフレンチの最先端で腕を磨く。その後、よりお客様との近いサービスを求めて、フレンチバル・神戸産直マルシェでその才能を遺憾なく発揮する。現在同料理長として、最高の料理を提供している。
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食材一つひとつに細かな仕事を施し、皿の上で融合させていく
「兵庫は海と山に囲まれていて、まさに食材の宝庫。そう言った意味では神戸はグルメの街ですね」。と、楽しそうに話すのは神戸産直マルシェの筒井シェフ。長年有名ホテルのシェフとして腕を磨いてきた彼も、神戸の食材の豊かさには驚いたそうだ。
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緻密に計算された盛り付けもフランス料理の特徴だ。
中でも一番衝撃だったのが神戸ビーフ。「神戸ビーフは肉の繊維が細かいので柔らかく、クセの無いピュアな脂が実はどんな食材やソースとも相性が良いです。更に、赤身の旨みが深いので、赤ワインソースのような濃厚なソースにも負けず肉本来の味をしっかり主張できるのが良いですね。」と笑顔で語る。
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筒井シェフの新作料理。“アワビと神戸ビーフのソテー ポルチーニとトリュフ2色のソースで
そんなシェフのスペシャリテは“アワビと神戸ビーフのソテーポルチーニとトリュフ2色のソースで”。「アワビは淡路産、野菜も近郊約農家から届くものばかり。この一皿に神戸の魅力が詰まっています。神戸は本当に何でも美味しい、素晴らしい街です。神戸ビーフをはじめ、神戸グルメの素晴らしさをもっと知ってもらえるように頑張っていきたいですね。」