午後6時を過ぎると異人館の営業時間が終わり、北野の街中には静けさが広がっています。いつもは観光客で賑やかな街を一人でゆっくりと歩く貴重な経験。誰もいない路地を歩くと、どこか神秘的な雰囲気まで漂います。夕方には昼の熱気も少し落ち着き、この暑い季節でも少し歩きやすく感じます。
今回は営業時間後の北野異人館街の坂道を緩やかに歩くお散歩コースをご紹介します。
元町駅からトアロードをまっすぐ山側に坂を上ると、レトロな丸型ポストが目に入ります。歴史的建造物が多数残っている神戸ということもあり、丸型ポストも多く残っていて素朴なフォトジェニックスポットになっています。
レトロなポストから歩道をまっすぐ進むと「異人館通り」が続き、レンガ造りの壁と古い洋館が建ち並びます。
この通りには洗練された美しい建物が多く、イギリス人建築家A.N.ハンセル氏が自邸として設計した「シュウエケ邸」を始め、世界的な建築家・安藤忠雄氏の建築物も3カ所見ることができます。明治大正期から現代までの美しい建築様式が共存する街並です。
先に進むと緑の並木ときれいな花々が目を引く北野坂に出ます。この道沿いには登録有形文化財に指定されている2階建ての洋館を利用して店舗にした、人気の「スターバックス神戸北野異人館店」もあります。
北野通りに面した「ベンの家」。赤い看板がとても印象的です。ベンの家の向かい側にあるラインの館の階段を上がると異人館街坂道の狭い路地が続きます。
営業終了後、窓が閉まっている「ラインの館」。この時間に改めて見てみると、普段では目に入らなかった屋根が目立ちます。洋風建築の異人館ですが、屋根だけは黒い瓦であることに気が付きました。この時間ならではの発見です。
日没が近づき、薄暗い異人館には1つ2つと、ライトが灯り始めました。赤レンガの壁がオレンジ色のあかりに照らされて、昼間とは違った情緒を醸し出します。
もう少し山側に上ると、右側に公園が見えてきます。「北野町東公園」は、神戸北野美術館(写真に屋根が写っている建物)のすぐ隣です。その灰色の屋根越しに見える風景を眺めると坂道をどれぐらい登ってきたかを実感できます。ベンチもあるので少し座ってひと休み。
更に奥に進むと、時が止まったかのような空き地、狭い路地などの風景が目に入ってきます。観光客で賑やかな北野も、少し離れると静かで素朴な落ち着いた雰囲気が広がっています。
そのまま狭い坂道を突き当りまで登っていくと、見晴らしが良いことで有名な「うろこの家」が目の前に現れます。うろこの家は神戸北野異人館街で最も高いところにある建物の1つです。ここが本日の散歩コースの折り返し地点です。
登ってきた道を下っていきます。灰色の「神戸北野ハンター迎賓館」から西側に進みます。
石畳の小径が終わると目の前に見えるのは「北野天満神社」の石鳥居です。この時間は閉門されているので本殿へと続く階段を見上げると静けさの中に荘厳さも感じます。北野天満神社は北野坂さらに上った所にあり、神戸の市街地が一望できるスポットとしても有名です。ご覧になりたい方は是非お昼の時間に訪ねてみて下さい。
▼北野天満神社についてはこちらの記事をご参考ください!
https://ichibankobe.com/ja/kobe_kitano_tenmanshrine/
北野天満神社を通り過ぎると今度は北野異人館の象徴、「風見鶏の館」が現れます。赤レンガの外壁と尖塔の一番上の風見鶏がとても印象的です。
風見鶏の館の前には北野異人館街の憩いの場、「北野町広場」があります。昼は異人館巡りの観光客が多い場所ですが、夕方は体操をしたり、お散歩で休憩をとったりされている近隣の方々の姿が。
ここに座ると、風見鶏の館や萌黄の館などを眺めながら、歴史ある異国情緒をたっぷり味わえるのはもちろん、新しく美しい神戸の市街地の景色も楽しめます。
北野町広場の西側に面した「萌黄の館」は、濃い緑色の雨戸と薄い萌黄色がよく調和しています。
散策もいよいよ終盤。萌黄の館沿いに坂道を下ります。ここからは狭い道が続きます。
誰もいない長い路地を歩き続けて、その路地の終わりが見える頃。ふと視線を感じたので周りを見回すと、屋根の上にまんまるな目でこちらを見ている黒猫がいました。北野異人館を離れる最後に可愛い猫と出会えて、ちょっと得した気分です。
トーマスの坂を後にし、夕方の異人館散歩はこれで終わりとなります。夕方6時でもさほど暗くなく、日が長い夏は迷うこともなく気楽に坂道を歩けます。
帰りは日が落ちて薄暗くなっていましたが、北野坂の並木にイルミネーションのあかりが優しく灯っていました。温かい光でライトアップされた北野の街。一日の締めくくりにちょっとお洒落なお散歩はいかがでしょうか。
神戸北野異人館街
https://www.kobeijinkan.com/