デザイン・クリエイティブセンター【KIITO】で2019年11月22日(金)-12月8日(日)に開催される「グッドデザイン神戸展2019」を一足先に観覧してきました!
暮らしにデザインを取り入れ、デザインを社会に広めていくための取り組みとして1957年に始まった「グッドデザイン賞」。工業製品からビジネスモデル、イベント活動など、ジャンルを問わず対象とし、これまでの総受賞対象数は5万件以上。すっかり世間に浸透したその名前は、だれもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「デザイン」は目に見える形・色だけでなく、それらを生み出す計画や仕組み・その意図や考え方を含めた幅広い意味を持っています。
そんな幅広い分野で優れたデザインを評価するグッドデザイン賞の2019年の受賞数は1420点。その中の一部、大賞・金賞・グッドフォーカス賞・特別賞を受賞した30点がこの度神戸にやってきました!
「デザインとは、より良い暮らしをするひと工夫」だと市民に感じて頂きたい、というコンセプトのもと開催されたグッドデザイン神戸展2019。昨年に続いて2度目の開催です。
実は東京以外でグッドデザイン賞の展示が行われているのは神戸だけ。10月末に決定したばかりの受賞作品を実際に見て、体験できるとても貴重な機会となっています。
展示されている受賞作品の中には工業製品などの形あるものだけでなく、サービスや活動といった形のないものも。ここからは今年の受賞作品の一部を紹介いたします。
2019年の大賞に選ばれたのは富士フイルムの《結核迅速診断キット》です。
これまで結核は痰を取って医療機関に送らなければ結果が分かりませんでしたが、このキットを使えばその場で即座に診断することができます。
富士フイルムと言えばカメラのネガフイルムでお馴染みですが、そのフイルム製造で培った「銀増幅技術」を転用することで、画期的な結核診断方法を確立しました。この製品は日本で販売する予定はなく、結核患者が多い開発途上国に向けられて作られた製品だとのことです。
富士フイルムはこれまで培った技術を医療分野に転用し、世界中の人々の健康に貢献する企業としての姿勢がグッドデザイン賞で大きく評価されたとのことでした。
兵庫県では神戸マッチの着火機能付きお香 [hibi 10MINUTES AROMA]がグッドフォーカス賞【技術伝承デザイン】を受賞。
着火器具がなくても、マッチを擦るように手軽にお香が楽しめるというユニークな製品です。開発した神戸マッチは1929年創業の老舗企業。現在でも国内で生産される7割は同社で造られているとのこと。播州マッチと淡路線香という兵庫県下の二つの地場産業を結びつけ、新たな価値を創造し伝統産業の技術の伝承につなげたことが評価されました。
どうやって未来に技術を残していくか、日本全国の伝統産業が新たなチャレンジをしているとのこと。グッドフォーカス賞【技術伝承デザイン】はこういった試みに取り組む日本全国の中小企業の中で、高度な技術や伝承的な技能によって実現された特に優れたデザインの製品に贈られます。
グッドフォーカス賞はこの他にも【新ビジネスデザイン】【地域社会デザイン】【防災・復興デザイン】など、様々な分野に分かれています。
有形無形に関わらず、どれもがこれまでになかった発想、私たちの暮らしに新たな価値、新たな視点を与えてくれる「デザイン」で非常に見ごたえがある展示でした。
ところでなぜ東京で開催されたグッドデザイン賞の受賞作品が、一部とはいえ全国では神戸だけで見ることができるのでしょうか?とふと疑問に感じ、質問してみました。
神戸は「デザイン都市・神戸」を掲げ、産業振興や地域の発展にデザインの力を取り入れることに積極的です。その取り組みと方向性が認められ、2008年にユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に認定されるほど。市民のデザインへのリテラシーも高く、行政との連携も取りやすい。そういった下地があるからこそ、10月末に決定したグッドデザイン賞を短期間で神戸で展示することができます。あまりデザインに関心のない都市ではこう簡単にはいかず、デザイン都市・神戸だからこそできることでしょうと仰っていただけました。神戸市民としてとても嬉しい言葉ですね!
グッドデザイン神戸展では展示だけでなく、様々な講座やワークショップ、イベントなども開催しています。(※一部事前申込制・先着順)
この週末から始まるグッドデザイン神戸展。KIITOまで出かけてデザインをもっと身近なものに感じてみませんか?
グッドデザイン神戸展2019(公式サイト)
講演会等の申込方法の詳細は「KIITO」WEBサイトをご覧ください。
http://kiito.jp/