≪神戸VARIT.≫
開港150周年を迎える神戸。
北野異人館や南京町(中華街)、旧居留地など、港を訪れる多くの外国人によって、当時より最新の海外トレンドを吸収して発展してきた国際都市。
現在ではKOBE COLLECTIONを始め、神戸発信の次世代ファッションが国内外から注目され、街として新たな魅力を放っています。
そんなおしゃれな街・神戸というイメージの中、三宮エリアの中心で13年間、非常に強い個性と斬新なコンセプトで神戸の音楽シーンをけん引し続けるライヴハウス「神戸VARIT.」。
神戸・三宮のド真ん中にオープンして13年、神戸の街に溶け込み、街と共存を目指す。
神戸発の音楽、ミュージシャンを全国へ、そして世界へ発信していくという神戸VARIT.さんの思いは、神戸のIchibanを発信し続けている、私達Ichiban KOBEと全く同じ。
今回は、マネージャーの南出 渉さんと、ディレクターの上野 綾奈さんに、神戸VARIT.の歴史、コンセプト、スタッフの思い、これからの展望をお話いただきました。
(インタビュー:神戸VARIT.事務所にて)
神戸VARIT. マネージャー:南出 渉さん
デイレクター:上野”とくちゃん”綾奈さん
編集長
神戸VARIT.が出来たのはいつ頃ですか?
南出さん
オープンは、13年前、2004年の7月23日です。
当初は、若い世代にフォーカスした様々なアーティストのライブを企画したり、大学生の軽音楽部やバンドサークルの演奏会のホールとして利用してもらったりしていました。
編集長
VARIT.さんがオープンした2004年といえば、、、現在のように積極的に個性のある若手を育てたり、メジャーアーティストを輩出したりするライブハウスが神戸にはあまり多くなかったような気がします。その中でもチキンジョージ(神戸で老舗のライブハウス)さんは、プロミュージシャンが演奏する場所、そしてプロミュージシャンへの登竜門といった感じでもありましたね。
南出さん
そうですね、僕も20歳のころはチキンジョージさんにお世話になったんです。すごいアーティストが出演していたので、自分も同じステージに立ちたいとずっと思っていました。
当時のチキンジョージさんは、FMラジオのイベント、テレビ番組の収録などで、超有名アーティストさんが頻繁に出てたり、すごく興奮したのを覚えています。「あぁ、あのバンド、このラジオ局と一緒にチキンでやるんや、かっこいいなあ。」みたいな・・・
地元の方もメディアもそしてアーティストの皆さんもチキンジョージさんには、一目置いておられたイメージが強かったです。
編集長
そういった南出さんの想いから、VARIT.さんをオープン。そして今年で丸13年、神戸には様々な個性を持ったライブハウスがある中、VARIT.さんの位置づけをお聞かせ下さい。
南出さん
そうですね、神戸にはキャパの大きい(収容客数の多い)、いわゆる広いハコ(ライブハウス)もあるんですが、神戸の中心街にあるVARIT.は、300名程度のキャパの中、嬉しいことにメインストリート沿いの入口に入場を待つファンの行列が常にできているという状況です。これが、ある意味神戸の名物になっていまして、、、そうですね、位置づけとしては地元の方にも、音楽ファンの皆さんにも愛されるハコですね。
編集長
いいですね!VARIT.さんでは、若い才能のあるバンドをメジャーに進出させたり、若いアーティストをどんどん積極的に育てていきたいというお考えはお持ちですか?
上野さん
もちろんです!最近は神戸出身で全国的に活躍しているバンドが多くなってきています。
アマチュアの頃は、VARIT.でライブをしてもお客さんがたった5人ぐらいだったバンドが、全国デビューして大人気になって、またVARIT.に帰ってきてくれるというケースもかなりあります!
今や神戸は東京や大阪のように当たり前のように個性のある実力派バンドが出てくる場所として全国的に注目されています。
今後は神戸から全国、更には世界へというのができればいいかな、、、と思ってます。
南出さん
そうですね。例えば、「The fin.」という今ロンドンで活動しているバンドがいまして、彼らは兵庫県宝塚の出身なんです。当時VARIT.で頻繁にライブをしてくれていて、僕が紹介した人経由で現在のマネージメント会社と出会い、現在ではロンドン在住です。ロンドンではとっても人気があるバンドで、今年のフジロックフェスティバルの出演が決まってます!!
また、よくVARIT.に出てくれていて、その後メジャーデビューした「WEAVER」というピアノロックトリオも、一時期ロンドンで活動していました。
僕も含めてVARIT.に出ているアーティストの方々は、海外に対して、いい意味であんまり高いハードルだとは感じてなくて、彼ら先人達の活動を見て、「あの人らが行くんやったら俺らも行きたいな!」っていう感覚が、自然に芽生えているのかもしれないですね。
編集長
神戸がホームで、東京や海外で活動をしているが、帰ってくる場所は、やはりここ「神戸」という思いを持ってもらえたらいいですね。そんな思いを持ったアーティストがどんどんVARIT.から発信できればいいですよね。様々な場所で活躍していても、神戸に戻ってきてくれる。そして神戸の音楽シーンがさらに盛り上がる。理想的ですよね!
南出さん
そうですね。正直、僕らはどの街にも負けたくないんです。兵庫の神戸がいちばん。
まさしく「Ichiban KOBE」ですよね。神戸がいちばん、いいと思いますね~。
神戸は小さい街だから、好きなものは好きって主張できる街ですから・・・
編集長
僕はこの小ささがポイントだと思っています。
神戸には日本全国、そして海外からも観光でいろんな人が来ます。
神戸牛や「べっぴんさん」(神戸を舞台にしたNHKの朝ドラ)と言うフック(きっかけ)で来られる人はいらっしゃいますが、今のところ「神戸の音楽」っていうフックで来られるというのは、なかなか聞かないですよね。
例えば東京だったら、それこそ東京でしか見られないバンドがあるからとか、サブカル(サブカルチャー)、そう、Kawaiiの聖地、原宿竹下通りを歩きたいからとか、世界中から1つの目的で来られてる場合も多いと思うんです。
そういったのが神戸にもあっていいんじゃないかなぁ、なんて思うんです。
南出さん
ですね。そういえば、この前、ニュージーランドに住んでいるブラジル系の方で2週間ほど、日本に遊びに来たという人がVARIT.を訪ねて来られて。その方はスカ系の音楽が好きで、神戸で何かスカ系のライブがないかと探しておられたんです。その時ちょうどウチで、スカ系のライブイベントをしていたのでおすすめしたところ、本当に楽しんでくださって、「神戸のスカ、最高じゃん、このライブハウス最高じゃん!」って言ってくれてましたね。うれしい限りです。
編集長
その方にとっては、もう神戸は「スカの聖地」になってるかもしれませんね!
今、現状では外国人の方々はVARIT.にいらっしゃってますか?
南出さん
神戸には世界中の様々国の方々が沢山住んでおられます。そしてその方々は、VARIT.のことはよくご存知だと思います。つい先日も神戸在住のアメリカの人がウチで企画ライブを行ってくれて、、、いい感じです。
編集長
VARIT.さんに出演している地元のバンドさんの活動状況はどんな感じですか?チャンスがあれば東京だけではなくって、アジアや世界でやって行こうっていう方たちは多いですか?
南出
はい、とても多いと思います。
編集長
国際色豊かな街・神戸ですから、外に向けて発信していきたいという意識は自然と高まりますよね!
南出
そうだと思います。
編集長
ではここで、お二人のことについてもお伺いさせて下さい。
南出さん、上野さん
はい!もちろん。
編集長
上野さんのお仕事内容をお聞かせください
上野さん
毎月のライブスケジュール管理、出演アーティストのブッキング(出演交渉)が主な仕事です。
編集長
南出さんは?
南出さん
僕はマネージャーや店長としての業務もありますが、それこそ何でもします。上野と同じくブッキング業務もしますよ。僕も最初から店長やったわけではないので、最初はブッキングの立場にいて、若い人を育てながら、東京から魅力のあるバンドを発掘して呼んだりしてきたです。
そしてそうこうしているうちに「にこいち」のマネージメントをするようになって、責任者の立場になって、、、今ですね。
上野は僕から多くのことを吸収し、現在はディレクターとして大活躍です。何よりも僕より年が若い分、今の世代のバンドも、音楽トレンドも僕よりよく知っているし、新しいものを取り込む耳も感覚も圧倒的に優れています。彼女の経験とセンスを最大限に生かし、全国の面白いバンドを神戸に連れてきて、ウチでやるというのが最大の売りなんです!
編集長
お話をお伺いしていると、お二人のバランスは、とってもいいなと思いました。お互いの良さを発揮し合っているというか。ここでほかのスタッフの方にもお会いしましたが、みんな本当に仲が良いのが印象的ですね。
南出さん
そうですね、スタッフみんなが結構長い間一緒に働いているんで、お互いのことを知り尽くしている部分もあるし、良さを引き出し合えるんで。とにかく仲がいいんですよ。
編集長
いいですね!
ところで、僕はVARIT.さんの前を通ることがよくあるんですが、VARIT.に来られるお客さんって、その日のイベントにもよりますけど、若い人が多いかと思ったら、年齢層の高い方も並んでおられて、ボーダーレスというか、とても幅広い年齢層ですよね。
南出さん
そうなんです!最近大人の方々は、楽しめる新たな場所を探しておられるのか、世代の違う若いバンドを見に来られる方々も沢山いらっしゃいます。また、親子で一緒に応援しているアーティストを見に来られるケースもかなり増えています。世代を超えて1つの音楽を好きになる!これは、別に僕らが戦略的にターゲットを絞っているという訳ではないんですよ。こういう現象は、音楽シーンとしてはとてもいい傾向だと思います!
是非音楽が好きな皆さんは、このVARIT.独特の空気を体感して欲しいです。
編集長
ホールのことについて少しお伺いします。
キャパが大体300名くらいですよね。そしてドリンクとか、フードとかも色々取り揃えられておられますよね~。例えばここにしかない、オススメフードなどはありますか?
南出さん
僕は街場のお店とコラボするのが好きで、今はサンドウィッチの『3(サン)』というお店と、
『キッシーの鶏からあげ』というお店とコラボさせて頂いてます。
編集長
すごいですね!ライブハウスで、街場の人気店さんとコラボしている話はなかなか聞かないんで、驚きです!
南出さん
ライブハウスって僕らだけでやるのではなく、街の皆さんと共存してやりたいと思っているんです。
なので、僕が行った先のお店で、実際に食べて美味しいなと思ったら、すぐに店長さんにお会いして、「是非私達のVARIT.で販売させて頂けませんか?」とお願いしたりしています。
『3(サン)』、『キッシーの鶏からあげ』ともに、店舗拡大中で、三宮エリアではイケてるお店です!むちゃくちゃおいしいですよ!
編集長
ちなみに僕も、サンドイッチの『3(サン)』は大好きなんです!今後も積極的にコラボできるお店ができればいいですね。
南出さん
そうですね。いろいろ面白いアイデアを考え中です
編集長
今後のVARIT.の目標をお聞かせください。
上野さん
先程の話にもあったように、VARIT.はお客様の年齢層の幅が広いだけではなく、実はジャンルも幅もかなり広いんです。ほかのライブハウスって、比較的カラーが統一されているところが多いと思うんです。もちろんVARIT.もある程度のカラーはあるんですけど、例えばアイドルだったり、弾き語り、ロックバンドだったりとジャンルが様々です。世代や国籍を超えてホントにいろいろな人に来てもらえる楽しい場所になればいいかなって素直に思っています。
そして、ここVARIT.、そう、ここ神戸から音楽シーン全体を盛り上げられるように、アーティストを育てたり、新しいムーブメントを起こしたりしていけるように、ライブハウスとしてエネルギッシュに活動をしていきたいです。
編集長
これからも神戸のバンドやアーティストを日本、そして世界へ発信、紹介してください!
今日は長い時間本当にどうもありがとうございました!
≪神戸VARIT.≫
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